ホーム > 病院概要 > 理事長挨拶

理事長挨拶

令和6年 理事長念頭所感より

年頭所感

新年おめでとうございます。

毎年正月を迎えると一休禅師の言葉を思い出します。 「正月や冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」と詠んでいますが、今年80歳を迎えるにあたり、まさにこの心境です。 愛甲先生と私は同級生で、この80歳を迎えるにあたって、同じ職場で仕事ができるという 事は、普通考えられない、ありがたいことだと思っているのですが、一方で我々の合言葉は「いつまでできるかな」という言葉です。まさに、めでたくもあり めでたくもなし、そういう心境でこれからもいくのだろうと思います。 しかし、今後もやれる限り頑張りたいと思います。

「光陰矢の如し 少年老いやすく 学なりがたし 一寸の光陰軽んずべからず」とはよく言ったもので、言い得て妙と納得している次第です。 私にとっては、時はあっという間に過ぎていきました。

昨年 5 月からあれほど猖獗しょうけつを極めたコロナ感染症も5類に引き下げられ、どうやら収束の兆しが見えてきたようです。 この3年間、職員諸君には大変良く頑張って頂き、ありがとうございました。 昨年 12 月は、7 年ぶりの忘年会を開催しましたが、皆さんの表情が、本当に楽しそうに、嬉しそうにして、いいひと時を過ごしておられました。私も開催して良かったと心から思って いるところです。

昨年末、業者と話をする機会があり、その人は九州一円に事業展開している人ですが、 青雲会の印象はどうですかと聞いたら、「ピカイチです」と言ったので「本当か、理由は何か」と聞いたら「お世辞では無いです。みんなが明るい。それから挨拶をしてくれる。」という事のようです。他の病院に行くと、業者だという事で、いわゆる今流行りの上から目線、それから挨拶をしても返してくれないそうですが、青雲会の職員は、こちらから挨拶しなくても「お疲れ様です。」と言われるし、人によっては立ち止まって目を見て挨拶をしてくれる。 こんな素晴らしいところは無いと言ってくれました。 青雲会にも昔、朝挨拶をしない男性職員がいました。「君はなぜ朝おはようございますと 言えないんだ」と言ったら「えっ!朝そんなこと言うのですか。うちの家では朝挨拶をしたことが無いです」と言ったのには驚きましたが、これは育った環境ですね。 挨拶をしない環境で育った人は、なかなか挨拶をすることは難しいのでしょう。 しかし、折角社会人になったのなら、挨拶ぐらいはしないと皆と協調して仕事が出来ません。 ですから是非外部の人へもですが、お互い同士もしっかり挨拶をしていただきたいと 思います。

我々の仕事は医療介護であり、人の役に立つための仕事ですので、皆さんによって多くの人々が救われたと思います。 人生において人の役に立つための仕事が出来るという事は、素晴らしい事ですね。 我々が仕事に打ち込む事で、多くの人々を救う事が出来たという事実は誇りに思える事であり、皆さんも自信が生まれた事でしょう。 コロナ禍において多くの人々が救われたという事実は、素晴らしいことだったと思って おります。

フリードリヒ・ニーチェは「仕事に打ち込む事で心や人格を鍛錬しどんな障害があっても乗り越えた時には強くなれる。慌てない。たじろがない。心配しない」と言っています。 我々は仕事に一生懸命に打ち込んで、そして自信を付けると、表情が輝いて見えます。 ですから、是非一生懸命仕事をして、この事だけは誰にも負けないのだというふうに仕事を していただきたいと思います。

未知の疾病であったコロナ感染症対応については、非常な危険を伴うかもしれないが、「我々がやらなければ誰がやる。先ずはやってみよう。」と行動したわけです。 その結果、仕事に打ち込む事で多くの障害を乗り越え、コロナに対する沢山の知見を得、強くなれたと思います。我が青雲会はまさにそれを実践しました。 最初、どんな病気かも分からず、あちらこちらでコロナ対応はしたくないという声の中で、 コロナの対応をすると真っ先に手を挙げました。この事で色んな知見を得ましたし、そして 評価もされました。今コロナ対応をしなかった病院は、収入が激減したと聞きます。 青雲会も同じように収入が激減しましたが、補助金で息を繋いだという状態でした。 一生懸命仕事をするという事は、いかに重要かという証だと思います。

2030年問題として、これからは高齢者がどんどん増えて行き、医療界は、それを担う 人材が少子化で極端に不足すると予測されています。残念ながら青雲会も人手不足には 抗えなくなってきました。 2030 年には、75歳以上の後期高齢者が10人に対して3人強の割合になる。そういう 時代に突入するそうです。しかも、昨年のニュースで、18 歳の成人が 100 万人ちょっとという状態だそうです。これは凄いことです。 47 都道府県で 100 万人と言ったら、一つの都道府県に 2 万人ちょっとです。そして東京・大阪の大都市がほとんどでしょうから、鹿児島に18歳以上の人が何人いるのだろうと考えるとぞっとします。

今現在、あちこちの業界で言われているのは、人手不足。まず、物流業界、トラック運転手がいない、タクシー運転手がいない。そしてほとんどが高齢化してきた。だから物流の値段がもの凄く上がってきている。そのうち宅配の配送も無くなるかもしれませんね。

それから建築関係。設計事務所の社長が言っていましたが、設計図を作って、見積もり 依頼しても、今までは10社ぐらいがすぐ飛んで来て、うちにさせてくれと応募があったそう ですが、今は見積依頼をFAXで流しても、1社も来ない。それで、今まで取りに来ていたと ころにこちらから出向いて「お願いします」と依頼するそうです。そうしたら、すごく高い値段を提示してくる。そこで、この値段では無理なのでもう少し下げて欲しいとお願いすると 「これ以上は出来ない。人がいない。」と言われるそうです。 この病院を造る時、コンクリートの建物が坪単価60万~70万円でしたが、今は150万円だそうです。木造建築30万~40万だったのが、今は100万だそうです。 ですから、これからはマンションも出来ないだろうとの事です。造っても、今の規模の マンションではなくて、部屋をもの凄く狭くした建物になっていくだろうということでした。 建築業界も大変だという話をしていました。

それから医療界。医療界はもっと悲惨な状態になると思います。と言うのは、看護学校の 2校が今年から募集を止めたそうです。それから今ある学校も定員に満たない状態だそう です。しかもその半分が県外に行ってしまう。残り半分は県内ですが、鹿児島市内の大きな病院に行ってしまうという状況が今現在です。これが、2030 年になったらもっと酷くなることが考えられます。だから人がいないという事は由々しき問題で、今ベトナムの人たちが2人来ていまして、今年も新たに2人来ますが、このベトナム人もいつまで来るかわかりません。 と言うのは、円安でオーストラリアに流れるそうです。今考えられるのは、インド・ネパールの人々に食指を伸ばすことですが、2030年には大変なことになりそうです。要するに人手が 足りなくなるという事を覚悟しなければならないと思っているところです。

ストアー哲学の真髄は、欲求・行動・受容です。 あの手この手を尽くして、人材確保に努めていますが不足が解消出来なければ、可能な 範囲の組織運営に切り替える事も視野に入れております。受容するしかありません。身の丈にあった対策を講じる時がきているのかもしれません。 このような時代に我々は入りつつあるという事を頭の隅に入れておいて下さい。

ひるがえって世界を見てみますと、プーチンのロシアがウクライナに侵略し、何の意味も ない戦争をしかけ、多くの人命を損傷しています。あの広い国土を持ちながらまだ国土拡大をねらっているようです。 北東アジアにおいては中国が台湾への武力侵攻を宣言し、北朝鮮は核兵器や 弾道ミサイルの開発に余念がないようで、平和な日本も対岸の火事として見ておられない 状況です。石垣・宮古・沖縄・奄美・種子島と次々に防衛整備がなされようとしています。 プーチン、習金平、金正恩も50年もしたらこの世に生きてはいないのに、せめて生きている間は、世の為、人の為に行動をすればよいのにと思いますが、その逆の行動をしようとしているようです。その思考が全く理解出来ません。

ショウペンハウアーは「富と名声は飲めば飲むほど喉がかわく」と言っています。 欲を出せば切りがないという事です。人間の欲望はつきる事がないですね。 我々は、とにかく人の役に立つという事を目的としようではありませんか! 要するに、人がいない、今年、戦争が始まるかもしれない、平和であるか分からないなどの不安要素はありますが、我々は「何か世の為人の為」やるべきことをやろうという考えです。 2024年がさらなる戦争の勃発のない、平和な日本である事を願うばかりです。

今年の総合目標

我々の仕事は 人の役に立つための仕事である
仕事に打ち込む事で 心や人格を鍛錬し
どんな障害があっても 乗り越えた時には強くなれる
余裕と笑顔が生まれる
始めなければ 何も始まらない さあ始めよう

以上です。今年もよろしくお願いします。

年頭所感 令和6年1月4日
理事長 川井田 浩

[理事長挨拶をそのまま複製] (文責:総務部長畠中)

このページの先頭へ